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幸せはいつも、すぐ側に




*---sweet and sour---*




「頭痛いぃぃ;;;」


ミツキがデビルズネストに仲間入りした翌日、


ミツキは寝込んでいた


「うぁ〜;;;ぐぁんぐぁんするぅぅぅ;;;」


おそらく、この世界に突然落とされてしまったため
体がまだこの世界に順応していないのだろう
さらに昨日、町を走り回ったせいで体力も減っていたのだ

今日はお仕事のこと聞こうと思ったのに・と
ぼやくミツキだったが、こればかりは仕方がない


「熱もあゆかなぁ…目眩がすゆ…」


既に呂律も危うい
ぼやーっと天井が見えるだけで、
ミツキはひたすらベットの中で悶えていた


「あぁ…やばい…かも…」


体力の異常な減少によるものか
ミツキは突然睡魔に襲われ
深い深い眠りに落ちていった…




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「おい、あいつは?」


地下一階の酒場

開店の準備をしていたドルチェットは
キョロキョロと見回しながら、マーテルに訊いた


「あいつって?」

「ほら、あいつだよ…」

「だぁから誰の事よ、はっきり言いなさいよ」

「だから……ミツキ……だよっ」


名前を口にした途端に頬を赤らめるドルチェット
それを見たマーテルは、へぇ・とにやけた


「なぁに?あの子に何か用事でもあるの?」

「そ、そうじゃねぇけど…」

「…はっは〜ん…惚れてんだぁ」

「なっ?!何、馬鹿言って……ッ!!」


必死で弁解しているものの、その顔は真っ赤になっている
なんてわかりやすい…と思いながら、マーテルはふぅっと溜息をついた


「ミツキね、具合が悪いみたいよ」

「え…」

「なんか、頭痛がするって言ってたわよ
 顔も赤かったし…風邪でも引いたんじゃないかしら」

「そ、そうか…」

「心配?」

「別に…!」

「………あぁ、そういえばミツキ、果物食べたいって言ってたわね〜」

「果物…?」

「ごはんが喉を通らないんですって
 でも、ここには今、果物ないからね〜…
 みんな忙しくて買い物にも行けないし…」

「……ふぅん」


それを聞いたドルチェットは、何も言わずに階段を上がっていった
出ていくのをじっと見ていたマーテルは、
姿が見えなくなるのを確認すると、
声を出して笑い出した


「うふふっ!成る程ね〜…あぁいうのが好きなんだ…フフッ!」

「マーテル?どうした?」

「あぁ、ロア!あの犬にも、春が来たみたいよ」

「む?」





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「ど、どうしたもんか…;;;」


眉間に皺寄せて悩んでいる様子のドルチェット
ミツキの部屋のドアをノックしたが、返事がない
入るべきか否か、しばらく廊下でうろうろしていたが、
そぉっとドアノブを掴むと、静かにドアを開けた


「み、ミツキ?」


呼びかけるが、やはり返事がない
足音を立てないように注意しながら、ベットに近づく
微かに「すぅすぅ」と寝息が聞こえる
とりあえず、死んではいないようだ
こう言うとき、犬の聴力で良かったと思う

起こさないように気を付けながら、そっと顔をのぞき込む

マーテルの言ったとおり、顔が仄かに赤い
表情もどこか苦しそうで、見ていて心配になってくる

と、ミツキの目が、僅かに開いた


「ん…」

「わっ;;;」

「……?……どるちぃ…?」

「あ、わ、悪ぃ、勝手に入っちまって」

「ん〜ん…だいじょーぶ…どうしたの?」

「あ…と、これ…食えよ」

「?」


ドルチェットは、手に持っていた紙袋の中身を取り出す


「いちご?」

「…あれだ…果物食いたいって聞いたから…な」

「ほんと?…うれし…ありがと…」

「……き、気にすんな////」


本当に嬉しそうに微笑むミツキを正視できなくて
思わず顔を背けてしまった







一目惚れだった




逃げる途中にぶつかってきたちび助

必死で叫びながら頭を下げるそいつに苛つき
さっさと去ろうとしたのに

顔を上げて自分を見たちび助に心臓が高鳴った

そいつが必死で「助けて」と言ったときは相当焦った
どうすればいいかわからなくて
結局「とにかく連れていこう」と思い立って抱き上げたとき

その小さな肩に、とても驚いた

強く握ったら、簡単に潰れてしまいそうな肩
その肩に負けないほど小さな手が、自分の首の後ろに回されて…


とにかく、どうしようもなかった
本当に、一目見て、落ちてしまった







「ドルチぃ?」


心配そうに自分を呼ぶ声に、ふと我に返る


「悪ぃ、なんでもない」

「ん…」

「あー、ほら、これ食っとけ!な!」

「うん…いちご〜…」


ミツキは、ゆっくりと右手を紙袋に伸ばす
が、その手は紙袋をはずれ、
その後2回ほどスカッスカッと空を切った


「………おい、わざとか?」

「うぅ〜、いちごぉ〜;;;」


本人は必死らしい


「むぅぅ……目が霞んで見えないぃ…」

「あ…そうか…」

「いちご〜(涙)」

「……ハァ…ほら、食わせてやるから泣くな」


溜息をつきながら、紙袋に手を突っ込み、イチゴを一つ取り出す
それを、ミツキの口元に持ってってやる


「ほれ」

「わぁい…いちごぉ…」


力無く笑ったミツキは、出されたドルチェットの手を
両手でしっかりと握り、イチゴを口の中に入れる


「…ッ!!////」

「…ん〜…おいし…もーいっこ、もーいっこv」

「え、あ、お、おうっ///」


がさがさと音を立ててイチゴを取り出す
それを、もう一度ミツキに与える
ミツキはその手をしっかりと握り、口に運ぶ


「(むぐむぐ)…おいし…」

「………。」


熱のせいで赤く火照った顔に潤んだ瞳

ふとよぎったよからぬ想像に、頭をブンブンと振る


「どるちぃ?」

「あ…なんでもねぇよ、なんでも…」

「ね、もーいっこ」

「ん…」



小さな手に包まれる自分の手

それだけで鼓動は早鐘を打ち

胸の奥がほんのり暖かくなる



「…早く、治せよ」

「うん」



その笑顔に、改めて思い知らされる


『 君が、好きです 』





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「で、ミツキは何が出来るんだ?」


翌日、仕事のことを聞きに行ったミツキにそう質問したグリード

あれから、ミツキの病気はすぐに治り、いつもの元気さを取り戻していた


「つぅかおめぇいくつだ?子供を酒場に入れるのはちょっとなぁ」


ま、俺は一向に構わねぇけどよ・と付け足しながらグリードは笑った


「いくつに見える?」

「あ?…あー………12・3か?」

「ぶっぶーっ!はずれ!正解はぁ…18歳でしたぁ☆」

「じゅうはちっ…?!…はぁ〜…人は見た目によらねぇなぁ」

「そういうグリだって…」

「あ?」

「……あ?」


ミツキは自分の失言に、両手で口を塞いだ


「いや〜、あはは☆(そんな、グリが200歳だって知ってたら、怪しさ満開だよ;;;)」

「……まぁいい、じゃあ平気だな(?)
 それじゃあ…特技とかそんなんはねぇのか?」

「特技?…ん〜…特技っつぅか…歌を歌うのが趣味!」

「ほぉ…」


グリードはそれを聞くと、ぽんっと手を打った


「じゃあそれをやってもらう」

「…はぇ?」

「ここで歌を歌って貰う」

「………はぇぇぇ?!」




この叫び声に、ドルチェットが駆けつけたのは、言うまでもない




ミツキの第二の人生(?)、前途多難である