What did you look at to me?

I come out so much and am fortunate

if it is the light which you saw.



*--- 楡の木と太陽 ---*




「あ〜あ……」



大きな楡の木の下

ぽや〜っと空を見上げている少女



少女の名はミツキ



2週間ほど前に、トキヨという少女と共に
この木の葉の里にやってきた

現在、ミツキはうずまきナルト宅で、
トキヨはイルカ先生宅で、居候生活を送っている


ミツキは、多少この里の地理を知っていたのだが
トキヨにとっては、見知らぬ土地
迷子になったら確実に帰れなくなるので、
彼女は家から一歩も出歩かない

逆にミツキは里の地理を少しばかり知っていたのと、
元々ある好奇心も相成って、暇さえ有れば出かけていた。



それが、今回、彼女にとって災難となってしまった



「ナルトぉ〜…誰かぁ〜」



そう、彼女は迷子になっていた

あっちには何があるのか・とか、こっちにこんなのが・とか
ちょこちょこと探索しているうちに、迷ったのである



「こんなことなら出かけなきゃ良かったぁ〜」



そうは言っても、結局は後の祭り

仕方なく、彼女は木の下に腰を下ろし、
ぼーっと空を眺めていたのである



時計を持っていないのでわからないが、
まだ正午過ぎくらいだろう

青い空に白い雲
そして、楡の木の隙間から零れる木漏れ日が気持ちいい



そういえば、この木漏れ日に似たような人が居たような気がする



照りすぎず冷えすぎず

間接的な優しい光に心も体も暖かくしてくれる人




「なにやってんだ、こんなところで」
「わぁっ!!」


突然の人の声に、思わず大声を出してしまった
振り返ると、そこには、たった今思い描いていた人



「し、シカさん?!どうしてここに?!」
「ここは俺のお気に入りの場所」
「あれ?チョウジとよく行く休憩所は…」
「あそこはガキの頃見つけた場所で、ここはつい最近見つけた場所」
「あ、そうなんだ…」


確かに気に入りそうな場所だね・と、ミツキはクスッと笑った


「で?お前は何してんだよ」
「え?あ、えっと、その…お恥ずかしい事ながら…迷子…です」
「はぁ?!」
「え、えへへ…里探索しているうちに迷っちゃって、気が付いたら此処に…」
「………うっわ、馬鹿か、お前は……」



シカマルは、ため息を付きながら隣にどかっと座った
すみません・と頭を下げたミツキを見てもう一度ため息を付くと、
木の幹に寄りかかり、ぼ〜っと空を眺め始めた
ミツキも、特に話す話題もなかったので、空を眺めた




しばらくの間、沈黙が続いた



時折、優しく吹いてきた風に、楡の木がさわさわと音を立てた




「シカさんてさ、」


沈黙を破ったのは、ミツキだった


「…何だよ」
「あー、やっぱいいや、恥ずかしいから」
「あっそ」
「…いやいや、少しは興味持ってくれても良いんじゃないの?」
「お前が勝手に話したいんだろーが」
「むっ…まぁ、いいや……あのね」
「ん〜?」
「シカさんってさぁ…木漏れ日みたいだよね」
「………は?」


あまりにも唐突な台詞に、シカマルは眉間に皺を寄せた


「なんで俺が木漏れ日なんだよ」
「ん〜っとね、なんていうかさ…
 暖かくて、優しくて、すごく気持ちが良くて…
 それがなんかシカさんっぽいな〜って思ってさ」
「…………(なんでこいつはこっ恥ずかしい台詞をさらっと言えるんだかな…;;;)」
「シカさんはさ〜、何だと思う?」
「何が?」
「あたしは何だと思う〜?(へらへら)」
「………………知るか」


ふいっと顔を背けるシカマル


「じゃあ、そうだね〜、例を挙げてみるか!」
「別にいい」
「まず、ナルトは、真夏の太陽でしょ〜」
「……(聞いちゃいねぇ)」
「ほんで、カカシ先生が新月かなぁ」
「…お前、自分ではなんだと思ってる?」
「ん?」
「自分では、自分はなんだと思ってるんだ?」
「ていうか、先に訊いたのあたしなのに…」
「今訊いてるのは俺なんだけど」
「意味わからんがな(−−;……ま、いっか…そうだなぁ…」


ミツキはフッと遠い目になると


「あたしは…明け方の太陽、かなぁ」


と、小さく呟いた


「明け方?」


『明け方』と限定されたことに、
シカマルは思わず聞き返した


『太陽』に関しては別に否定はしない
それなりに明るいし、迷子になる程行動力もあるし、
いつでも、何が楽しいんだかにこにこ笑ってるし、
むしろへらへらっていう方が合ってるかもしれない
まぁとにかく、『太陽』は、割と合ってるとは思っている


シカマルの疑問の声を聞いたミツキは、ふんわりと笑うと、
静かに立ち上がり、空を仰いだ


「ねぇ、知ってる?明け方の太陽って、
夜を消して明るくして、一番あったかいと思うでしょ?

でも、本当はね…」


<ミツキってさぁ、いまいちよくわかんないよね>
<なんつーか、八方美人?誰にでも愛想いいでしょ>


思い出したのは、昔のような、ごく最近のこと


何層にも折り重なった自分
そうさせたのは、一体誰だったっけ…


「本当は、明け方の太陽の光は、最も冷たい光なんだよ…」



そう言ったミツキの顔が、

あまりにも無表情で
あまりにも淡々としていて

シカマルは一瞬目の前にいる女が
いつも笑顔で自分の名を呼ぶ女が
知らない<他人>のように見えた

ミツキは、その一瞬の間に耐えきれなくなったのか、
ぐーっと伸びをすると、いつもの笑顔でシカマルの方を向いた


「さぁ〜てと!そろそろ帰ろうか!案内よろしく!」


さくさくと歩き出すミツキ




「おい」


ミツキは歩みを止め、振り返る

そこには、楡の木を背に、真剣な表情で佇むシカマル


「なぁに?」
「………が…」
「ん?」


「お前が冷たい光だっつーんなら…
 俺はこの楡の木になってやる」

「?」

「お前の言う、冷たい光を、木漏れ日に変えてやる」

「……ッ!?」



時間の流れが、遅くなったような気がした

その一瞬だけ、まるで少し昔の、映写機の映像のように
カタカタと音を立てて、色褪せずに、鮮明に流された気がした



「……ったく、こんなこと言わせんじゃねぇよ、メンドクセー奴…」


照れて、頭をかきながら俯く彼が、あまりにも愛おしくて、
思わず駆け寄って抱きしめていた


「わっ…ミツキ…ッ?!」
「ごめん…ごめんね…」
「…?」



ねぇ、月夜

私、この世界に来れて良かった


こっちに飛ばされて、良かった



「ミツキ…?泣いてんのか?」



会えて良かった


貴方に会えて、本当に良かった



「……あのな、ミツキ」

「…ん…」

「お前は俺を"木漏れ日"つったけどよ」

「うん…」

「俺は…お前が"木漏れ日"だと思ってたぜ?」

「……どして?」

「お前が言ってたもん、全部そのままお前に返す」

「…ッ…あり、がとぉ…」



「だから、泣かないでくれよ…女に泣かれんのは、適わねぇ」








君と俺で、木漏れ日を創ろう


優しくて暖かくて柔らかい光


君が自分を"冷たい光"だと言うなら


俺は其れを"柔らかい光"に変えよう


この場所のような


この木漏れ日のような


そんな二人になろう



二人、ずっと一緒に居よう









*---後書きなんぞつけてみる---*


こんにちわ。著者の光稀です。
こっ恥ずかしいもんさらして申し訳ない(土下座)

この「木漏れ日」ネタは、随分前からあったのですが、
なかなか思うように執筆できず、
自分の文才のなさのせいにして、正直諦めかけてました。
んが、しかし!クリスマスに奇跡は起こった!!(笑)
えー、今日は04/12/24!イブです、イェアッ!!
イブの日にこのネタを、しかもシカミツ書けてかなり幸せです〜☆
ただ、季節感無視しまくっていますけどね、あっはは〜い☆(謎)

ところどころ「?」な文章があったかと思いますが、
これはそのうち公式発表しますので、そちらを待っていただきたい。

とにかく、こんな駄文ですが、最後まで読んでくれた貴方に感謝します。

                         Mitsuki.T