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『そうね、貴方は、蒲公英ね』



*---Dandelion---*




「で、でも、そんなの無理ですから!!」


あわあわと手をばたつかせながら拒否するミツキ
デビルズネストの主、グリードはそれを面白がって見ている

ミツキは、昨日このデビルズネストに加わったばかりで、
ここでの仕事についてグリードと話していたのだが、
ミツキが歌うのが趣味だと聞いた途端、
グリードはそれを仕事にしようと言い出したのだ


「音程取れてないし、趣味ですから、
 人様に聞かせられるようなものじゃなくて…!」

「ミツキ、どうした?」


ミツキの大きな声を聞きつけたドルチェットが、
息を切らせながらやってきた


「お、丁度いい
 ミツキ、俺達の前で歌って見ろ」

「「ええぇぇッ?!」」

「な、なんでそうなるの?!」

「あの、グリードさんどういう…?!」

「まずは身内の俺らの前で歌ってみりゃいいだろ、それで決める」


グリードの、有無を言わさない笑顔に、
ミツキは仕方なく頷いた
ドルチェットは訳が分からず、ただオロオロしていた


「何がいいのかな…んーんー…」


必死で曲を検索するミツキ




『そうね、例えるなら、光稀は蒲公英ね』




「そう、ね…」


光稀は、そっと目を伏せると、静かに息を吸い込んだ





酒場に響き渡るソプラノ質の声

この声を聞いた仲間達は、
まるで惹きつけられるかのように
少しずつ、3人の周りに集まってくる


歌い終えた時には、
酒場で作業をしていたほとんどの人間が
ミツキの周りを囲んでいた


「わぅわッ!!な、何じゃこりゃぁ!!」


驚くミツキに、取り囲んでいた連中から拍手が沸き上がった


「すげぇな、お前!」

「どこの国の歌だ?!」

「もっぺん歌えよ!」



「あ、えっと…、あ、ありがとぉございます!!」


周りの反応に、思わず深々とお辞儀をしたミツキ


「…うし、やっぱりやってもらうぞ」

「ええぇぇ?!」

「この反応みりゃわかる、そうしてもらうのが一番だってのもな」

「でも…」

「ミツキ、俺からも、頼む」

「ドルチぃ?」

「俺も…もっと聞きたいって思ったからよ…」


グリード・ドルチェットを初め、沢山の人にそう言われ、
ミツキは顔を真っ赤にしながら


「お願い、します!」


と、また深く頭を下げた





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「ところで…随分変わった歌だったな」


カウンターを拭いていたミツキは、ふと声の方を向く
そこには、テーブルを移動させているドルチェットが居た


「変わった?」

「いや、悪い意味じゃねぇよ?!
 あんまり聞かねぇ曲だったから…」

「うん、そうだと思う」

「ミツキ?」

「歌詞がすごく良い歌だったでしょ?」


にっこりと笑うミツキに、
ドルチェットは思わず
持っていたテーブルを落としそうになってしまった


「…あのね、あたし、ある人にね、蒲公英だねって言われたことがあるの」

「たんぽぽ?」

「うん」


突然の話題の転換に、ドルチェットは少し戸惑いながらも聞き返した






『うちの子、温室の薔薇みたいにお嬢様みたいに育っちゃって』

『ふぅん、そうね、例えるなら、光稀は蒲公英ね』

『はぁ?なんで蒲公英ぉ?』

『どんなに踏まれても生き抜いていく生命力があるでしょ?
 ありふれた花だけど、その分、いろんな人に知られてる花だし』

『へぇ…そんなもん?』

『光稀ちゃんは蒲公英かぁ、いいんじゃない?』

『ね、我が家の蒲公英娘ッ!』





「大切な人がね、そう言ってくれたの」

「大切な……」

「そっ!それでね、後で蒲公英の花言葉を調べてみたの」

「花言葉…ねぇ」

「ドルチぃは、絶対そういうの知らないでしょ?」

「……花に興味持ったことねぇからな」

「だと思った〜!」

「んで?蒲公英の花言葉がなんだって?」

「うん、蒲公英の花言葉はね…」






『光稀は歌うのが好きだね』

『うんッ!』

『もっといっぱい歌ってね、
 お母さん、光稀の歌、大好きだよ』

『…本当?』

『嘘言ってどうするのよ〜』

『じゃあ、いっぱい歌う!』






「蒲公英の花言葉は、"明朗な歌声"っていうの」

「……へぇ」

「だからってわけじゃないけど、
 なんか繋がりがあっていいなぁって思って、
 下手だけど、歌うのはやめないようにしようって思ったの」

「……下手じゃ、ねぇよ」

「ん?」

「すごく…綺麗で、良かったぞ?」

「…お…お世辞はいいよぉッ!恥ずかしいから!!」

「本当だっ!!本当に良かったって!!」


ドルチェットはテーブルを置き、
照れる光稀の肩をグッと掴んだ

すると、ミツキは目を見開いて、
ほんのりと赤かった顔をさらに赤くさせた


「わっ…どッ…ドルチぃ…!」

「え?……あ、わ、悪ぃ!」


驚いたミツキを見て、ドルチェットはバッと手を離した


「……えっと…あ、ありがとう…ドルチぃ」

「お、おう…」


「ほーぉ、仲が良いなァ、お前ら」


どこかよそよそしくなった二人の元に
見事に割り込んできた声


「ぐ、グリっ?!」

「誘拐犯に惚れちまったのか、ミツキ?ん?」

「だから、誘拐したんじゃないんですって!」

「しかしなぁ…目の前であんな初々しいもん見せつけられちまったらなぁ」

「あのね、そうじゃないの!本当に話してただけで、ね、ドルチぃ?」

「え……あ…そう、だな」


ミツキにそう言われ、結構ショックなご様子のドルチェット


「…へぇ…成る程ねぇ」

「ッ!グリードさんっ!?」

「ん?何?何?」

「ん〜?いや、どうやらドルチェットはお前が…」

「わ〜っ!!わ〜っわ〜っ!!何考えてんですかッ!!/////」

「あははははっ!ドルチぃ真っ赤だ〜〜!」

「う、うるせぇっ!!////」

「面白いな〜、こいつ」

「グリードさんッ!!(怒)////」






楽しくて、幸せな場所

綿毛についた種が風に乗り

そこに根付くように

此処に飛ばされたことが

必然なのだとしたら


道ばたに咲く蒲公英のように、

さりげなく、だけど、絶対に

貴方の側にいます


そして、貴方の側で

私は歌い続けて生きると決めました





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「で?ドルチェットよぉ、いつ告白すんだ?」

「はぁっ?!」

「早めにしとかねぇと、俺が盗っちまうぞぉ?(笑)」

「………(断固阻止せねばッ!!)」