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全てを黒く塗りつぶしていく冷たい手



*---Nightmare---*




「――――――ッ!!」


がばっと、すごい勢いで起きあがる少女
冷や汗が流れ、その目は何かに怯えていた
ミツキは、荒くなった息を整えようと、深呼吸をした

デビルズネストに加わってもう4日が経った
デビルズネストのみんなは、顔は怖いが、
ノリがよく優しいので、早くに溶け込めた

特に、主であるグリード
此処に来るきっかけを作ってくれたドルチェット
唯一の女性仲間のマーテルとは、仲良くして貰っている


面白くて、楽しくて、とっても幸せな日々


なのに


蘇ってきた"あの場所"


ミツキは、そっとベットを抜け出した





*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*





"ギィッ"


ミツキは、屋上へとやってきた
空には月が掛かっている

この時間は酒場はまだ営業中だろうと思い、
迷惑にならないよう、一人此処にやってきた

フッと息を吸い込む
夜の風の匂いが心地いい

見上げた空の満月を見て"彼奴"を思い出す
どうしたんだろうなぁ…彼奴

そっとポケットの中のケータイを取り出す
どうせこの世界じゃ使えないだろうと思って
鞄に入れっぱなしにしておいたのだが、つい持ってきてしまった
カチッとケータイを開き、アンテナを見るとちゃんと3本立っている
壊れたかな…と思いながらも、なんとなく"彼奴"にかけてみる

すると、

『トゥルルルル…トゥルルルル…』


「…うそぉ…」


確かに、コール音が聞こえる
そして…


『光稀ッ?!』

「あ…月夜…」


繋がった・と驚くミツキ


『何処にいるの?!今、どうしてるの?!』

「えっと…信じて貰えないかもしんないけど、
 今ハガレンの世界で、デビネスに加わった…の」

『…マジで言ってんの?』


まぁ、これが普通の反応か・と自嘲していたが


『俺は…今、東方司令部にいる』

「…本当?」


思いもしなかった言葉に、思わず聞き返す


「え、じゃ、じゃあ…」

『そういうことになるわね』

「……あっはー!そっかそっかー!!
 あのね、あのね、私ね、ドルチぃに逢っちゃったの!」

『そりゃ、デビネスに居るんだもんね』

「うんッ!すごく嬉しいの!ずっと…ずっと逢いたかったから!」

『そりゃよろしいことですこと』

「何よぅ、月夜だって増田さんに逢えたんでしょ?」

『増田言うな!…まぁ…ロイには、逢えた…よ…///』

「あはは……つまり、月夜も…」

『うん?』

「……なんでも、ないや!」

『ふぅん……あ、ごめん!帰ってきたみたいだから切る!』

「ん、ロイによろしくーなんつって!」

『もうっ!!/// じゃ、またね!』


ガチャッと大きな音で切断され、
ミツキはやれやれ・と苦笑した


「そっか…月夜も、この世界に居るんだ…」


再び月を見る

良かった…死んでなかった…
それどころか、同じ世界に居る

ミツキは安心し、胸をなで下ろした


「…お?ミツキ?」

「グリ?」


そこへ、酒場で飲んでいたはずのグリードが
この屋上にやってきた


「どうしたの、こんなとこに来るなんて」

「今日は客の入りが悪くてな
 いい女もいねぇし、暇を潰しにな」

「へぇー」

「お前はどうした?」

「……じゃあ、ここで問題です!私は何故此処にいるのでしょう?
 1.月見をしにきた 2.目が冴えてたので同じく暇つぶし
 3.怖い夢を見たので気晴らしに 4.夢遊病(笑)
 さぁて、どれでしょう!!」


突然投げかけられた質問に、グリードは吃驚したが
すぐにノリよく、うーん・と考え始めた


「そうだなぁ…夢遊病も捨てがたいが、3だ」

「いいんですか?いいんですねぇ〜?」

「おう」

「……ピンポンピンポーン!正解でぇす!
 正解したグリードさんには、ミツキさんの拍手をプレゼントー!!」

「ていうかよぉ、怖い夢って…ガキか?」


パチパチと手を叩くミツキに
グリードのツッコミが入る


「で?どんな夢を見たんだ、お嬢ちゃん?」


ん?とからかい口調で訊いたグリードだったが、
ミツキの顔を見て、目を見開いた


「ミツキ?」


ミツキの顔から"感情"というものが消えていた
まるで蝋人形のように、巧みに作られたモノのような顔で
じっと遠くの一点を見ているようだった


「おい、ミ…」

「…手…」

「あ?」

「冷たい手…」







大きな門


扉の向こうに見えたのは………?






「――――――ッ!!」


ガタガタと震え出す体
その顔は恐怖に歪み、目は焦点を見失っている


「やだ…やだやだやだ!!もうやめて!!もう見たくない!!」

「ミツキ!ミツキ!?」


あまりの錯乱ぶりにグリードも流石に動揺し
ミツキの肩をしっかりと掴み、揺さぶる


「いやぁぁぁっ!!」


泣き叫ぶミツキを引き寄せ、抱き締める


「落ち着け、な?!」


扉の向こうに見えたのは…?

否、

扉の向こうで、

 見 せ ら れ た モ ノ は ………


「いやぁ!!来ないでっ!!もう、もう…ッ!!やめてぇぇぇぇッ!!!」


なおも暴れるミツキの頭を自分の胸に押しつける


「………あ……」



"トクン トクン"


押しつけられた胸から、微かに鼓動が聞こえる
次いで、呼吸の度に動く体や体温がミツキを包んでいるのがわかった
すると、少しずつだが、ミツキは落ち着きを取り戻していった


「…ぐ…り…?」

「…悪かったな…」

「…ごめん…なさい…」


力無く首を振ったミツキの頭を、そっと撫でる
それに応じるように、ミツキはグリードの胸に顔を埋めた


「……ミツキ?」


返事がない
耳を澄ますと、寝息が聞こえてきた


「…やれやれ」


苦笑しながらミツキを抱え上げる
ふと見たミツキの寝顔は、とても安らかだった


「…まいったな、コリャ…」


ハァ・と溜息をつくと、彼女に部屋に向かって歩き始めた





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「お早うございまーすっ!!」


元気な声が酒場に響く


「おう、ミツキ」

「あ、グリ!」


ミツキはグリードを見つけると、たたっと駆け寄り、
周りの人に聞こえないよう小さな声で


「あの…昨晩はごめんなさい…
 で、あのことは内緒にしてくれない・かな?」


お願いします!と頼んできた


「………そうだな、等価交換ってことで」

「え?何と交換…」

「ミツキ!」


疑問を投げかけようとしたが
ドルチェットに呼ばれ、中断されてしまった


「マーテルが探してたぞ、行ってこい」

「あ、はーい!」


とてとてと走り去るミツキの後ろ姿を見送りながら
グリードはドルチェットの肩を叩いた


「?…なんですか、グリードさん」

「悪ぃな、ドルチェット」

「はぁ?」


訳が分からず眉間に皺を寄せるドルチェット


『此奴の知らないお前を見せて貰ったからな…ミツキ』


楽しそうに会話をしているミツキを見ながら、
グリードは笑みを浮かべていた