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なんとなく……似ていると思った



*---It looks like---*




「それじゃ、行って来るぜ」

「はい」

「夕飯、楽しんで来いよ」

「ありがと、いってらっしゃい」


セントラルについて2日目

早朝から、グリードはまた単身
調べ物のため、ホテルを出ていった

それを見送ると、ミツキは部屋に戻り、
出かける準備を始めた


「手ぶらで行けないもんね、なんかお土産買ってこよ」


先日、男達に絡まれていた少女、
リズワーナを助けたミツキは、彼女に夕食に誘われていた

リズワーナは、アームストロング家の次女の娘であり、
アレックス=ルイ=アームストロング少佐の姪である
確か、鋼の錬金術師の弟と同い年だったはずだ


(何が良いかな〜…ぬいぐるみ…は、たくさんありそうだしなぁ…)


ホテルの階段を下りながら、
ミツキは、リズへのお土産に頭を悩ませた


(あの子が好きな物は…錬金術と…ん〜と…)


ホテルを出、繁華街を歩きながら黙々と考える
ちらっとショップのウインドウを覗くも、
これといってピンとくる物がない


(…そもそもお嬢様にあげるものって…思いつくの難しくね?)


ごあぁ!と頭を抱えて悩むミツキ


すると……


"ドンッ!"


「ぁいた!」

「おっと!」


…どうやら誰かにぶつかってしまったらしい

この世界に来たときといい、ドルチェットとの出逢いといい、
彼女は人にぶつかるのが得意のようだ


「ご、ごめんなさい!ボーっとしていたものですから…」

「いやなぁに、気にするなって」

(あれ…?この声、どこかで聞いたことがある…?)


ミツキが顔を上げると、そこには…


「ひ…(ヒューズさん?!)」


そう、彼女がぶつかった相手は、
マース・ヒューズ中佐その人だったのである


「? なんだ、どうした?」

「い、いえ!ぐ、軍人さんに失礼をしてしまって…ごめんなさい!」

「あっはっは!そんな気にするなって!」


ケラケラと笑うヒューズに、内心ホッとしたミツキ
ふと、ヒューズは「ん?」と首を傾げた


「あの、何か…?」

「あー、いや!似たような子がいたかなって」

「はぁ…」


誰だったかな?と思いながらも、ヒューズはにっこりと笑った


「買い物中にごめんな」

「いえ…何を買おうか悩んでたもんですから…」

「彼氏にかな?」

「そ、そんなんじゃ…!」

「いいか、男が出来たらな、ちゃぁ〜んと親に報告するんだぞ?
 貢がせるだけ貢がせて捨てちまう、
 ひでー野郎も世の中にいるもんだぜ?
 そういうのを見極めるのも、親の仕事なんだからな〜!」

「は、はぁ…(この流れで行くと…)」

「かくいう俺も、娘がいてな……
 ほれ!この子!可愛いだろ〜vvvエリシアちゃんって言うんだ〜vvvv」

(き、キタ―――(゚Д゚;)―――!!)


ヒューズと言えば、家族自慢で有名な男
こうなってしまうのも、仕方がないことなのである
話し出したらもう、止まらない止まらない
かれこれ10分ほどその場で娘自慢を聞かされてしまった


「パパ〜って笑ってるときなんかたまらないんだな〜vvv」

「こんなに愛されてて…
 エリシアちゃん、きっと素敵な女性になりますよ!」

「だろ〜?絶対美人になるよな〜vvv」


と、暴走していたヒューズだったが、ハッと我に返った


「…っと、悪い悪い!初対面のお前さんにこんな話ししちゃってな」

「あ、いえ…」

「なんだろうな〜、まるで初対面じゃないみたいでな…」

「?」

「買い物の邪魔して悪かったな!
…あ、そうそう、お前さん、名前は?」

「ミツキです」

「ミツキね!俺はヒューズ、マース・ヒューズだ」

「こちらこそ宜しくお願いします!えっと…ヒューズ…階級は?」

「あーいいって!階級で呼ばなくて!」

「じゃあ…お言葉に甘えて、ヒューズさんで」


フワッと微笑むミツキ
其れを見て、ヒューズは「あ」と声をあげた


「何か?」

「あー、いや、なんでもないよ」

「そうですか?」


小首を傾げるミツキ


「さてと、長々と悪かったな」

「いいえ、お気になさらないで下さい
 あ、ヒューズさん!
 あの…格式のあるお家のお嬢さんって、
 何をもらったら喜ぶと思いますか?」

「格式のある家のお嬢さん?」

「はい…どうにも見当が付かなくて…」

「あれ?……もしかして、少佐が言っていた、
 姪っ子さんを助けた女の子って…」

「少佐さん?」

「あぁ、アームストロング少佐…姪っ子さんの名前は確か…」

「リズワーナさんですか?」

「そうそう!はぁ〜、リズを助けたのは、ミツキだったの?」

「ええまぁ…それで、夕食をお呼ばれしてまして…
 何を買っていったらいい物かって」

「そうだったのか!
 それじゃあ、俺が買い物に付き合ってやるよ!
 これも何かの縁だしな!」

「え、でも、お仕事は…?」

「大丈夫大丈夫☆さっ、行こうか!」

「あ、ありがとうございます」


フンフ〜ンと鼻声で歌うヒューズの後を、
ミツキはちょこちょこと付いていった




*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*




「本当にありがとうございます!」

「良い物が見つかって良かったな!」


ヒューズのおかげで、納得のいく物を手に入れることが出来たらしい
ミツキは、嬉しそうに小さな包みをバッグに閉まった


「ヒューズさんのおかげです!ありがとうございます!
 あ…こんなに付き合わせちゃってごめんなさい!
 あの、お時間が良ろしければ、お茶でも…」

「いいっていいって!そんな気を使わなくて!」

「でも…それじゃあ私の気持ちが…」

「…ん〜、そうだな…それじゃあ…」

「え?」

「もしまだ中央にいられるようなら、今度はうちに来な!
 その時に、エリシアに何かしてくれれば、それでいいから」

「…わかりました!是非お邪魔させていただきます!」

「そろそろホテルに迎えの車が来る頃なんじゃないか?」

「そうですね、それじゃあ失礼します!
 今日は本当に、ありがとうございました!」

「お兄さんに宜しくな〜!」

「フフッ!は〜い!」


笑顔で手を振り、繁華街を走るミツキを見送りながら、
ヒューズはフゥと溜息をついた


「本当に…外見なんかまったく違うのになぁ…」


ん〜っ!と伸びをしながら、
ヒューズも、ミツキとは反対方向に歩き出す


「なんだろうな…どっかトキヨに似てる…」


そう呟きながら、中央司令部へと向かったのだった




*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*




「…………。」


ホテルの前で、呆然と立ちすくむミツキ

それもそのはず

おそらくこの世界で、高級車と呼ばれるであろう車が
自分を待ち受けていたのだから


「ミツキ様ですか?」

「あ、えっと…はい」

「お嬢様がお待ちです、どうぞ」

「は、はひっ!!」


緊張のあまり、声が上擦ってしまった
情けない…と思いながらも、車に乗り込む
中には、リズが笑顔で待っていた


「良かった!誘いを受けてくれて!」

「なんか、申し訳ないです、ここまでされてしまって…」

「あ、敬語じゃなくていいの!昨日みたいに!
 それに、私のことはリズでいいよ?」

「そ、そう?じゃあ…リズ…」

「はい!」


笑顔で返答する彼女が愛らしくて、思わず頬が緩む


「今日は、お母様達はお仕事で不在なんだけど、
 その代わり、叔父様が一緒してくれることになったの!」

「おじ、様…アームストロング少佐のこと?」

「そうだよ!どうして知ってるの?」

「昼間、ヒューズさ…
 …いやいや、ヒューズ中佐にお会いしてね、少し話を聞いたもんだから」

「そうだったんだ!」


おしゃべりをしていたからか、
あっという間にアームストロング家のお屋敷に到着した


(で、でか…っ!!うわ、マジですげっ…写メ撮りてぇ〜(笑))

「さ、こっちだよ!」

「あ、う、うん!!」


長い長い廊下を歩いて行く
ミツキは、ただただその凄さに圧倒されている


「今日は、外で立食にしようと思ってね!」

「は、はぁ…(どんだけだっ!!)」


リズが扉を開けると、
目の前に広がる大きな庭園
綺麗な白いテーブルクロスに、
乗せられた数々の料理、思わず見とれてしまう


(綺麗なお庭〜…うわ、すげぇ料理の数!!絶対食べきれねぇ!!
 ほ、本当にタッパーとか持ってくれば良かった!!!)


心の中で絶叫するミツキ
自分のあまりの貧乏性さに、少し涙が出そうになった


「あ、叔父様!」


リズの言葉に振り返る
そこに、見慣れた人物が笑顔で歩み寄ってきていた


「おぉ、リズワーナ!」

「叔父様!この方が、私を助けてくれた錬金術師のミツキ様!」

「い、いや、そんな大それたことしたわけじゃ…つか術師でもない…」

「なんと!!これはこれは、よくぞ来てくれましたな!
 我が輩は、アレックス=ルイ=アームストロング、リズワーナの叔父である」

「ど、どうもご挨拶が遅れて申し訳有りません、ミツキです!」

「しかし、お主のような少女が錬金術師とは…
 いやはや、エルリック兄弟といい、若い才には驚かされますなぁ」

「いえ、先程も言いましたけど、私は錬金術師では…」

「しかも!それを人助けに使うとは…何と素晴らしい!
 我が輩、感動!!!」

(ハッ!…い、今のワードは…!!!)


時既に遅し。



「みゃ〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!」


ボキボキボキvv


「叔父様叔父様、ミツキ苦しそうです」

「む?おぉ、すまんな、つい力が入ってしまったようだ!」

「い゙、い゙え゙い゙え゙…;;;」


"我が輩感動!"が出たら、
それは抱き潰されることを予言させる言葉なのだ


「ささ、遠慮せずに好きなだけ食べて行かれると良い!」

「…はぁ〜いvvv」


正直、骨が凄くぎしぎしと傷んだが、
美味しい料理に舌鼓を打つ内に、痛みを忘れていったのだった





*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*




「今日は本当にありがとうね」


帰りの車中、ミツキはリズに改めて御礼を言った


「そんな!私は、助けられた御礼がしたかっただけなの!
 ありがとう、は、こっちの台詞なんだよ?」

「ううん、それでも、あんなに御馳走になったし、
 それに…本当にテイクアウトさせて貰っちゃってるし;;;」


ミツキは、膝の上の包みを撫でながら、恥ずかしそうに目を伏せる


「本当は、もっと色々御礼がしたかったんだけど…」

「ありがとう、リズ、その気持ちだけで充分嬉しいよ」

「ミツキ…」

「…あ、そうだ!すっかり忘れてた!」


ミツキは、パッとバッグを手に取り、中から小さな包みを出す


「これ、今日の御礼!」

「え…?」

「御馳走になるだけなんて悪いからさぁ…
 気に入って貰えると嬉しいな〜なんて…」

「…いいの?」

「うん!」


リズは、包みを受け取ると、そっと開く
中から出てきたのは、小さな硝子の花が付いたヘアゴムだった


「へへ…ちょっと安物だけどさ、可愛いかな〜って思って」

「…あ…ありがとう……ッ!」

「いいって!まぁ…なんて言うかさ…
 私、リズと友達になりたいな〜…なんて」

「え?!」

「あ、嫌だった?」

「…ううん!嬉しい!私も、友達になりたいって思ってたから…!」


リズの嬉しそうな笑顔に、自分も嬉しくなってくる
車がホテルの前に着く
と、同時に、丁度グリードが帰ってきた


「おう、ミツキ」

「あ、グリ…お兄ちゃん!」

「今帰ってきたみたいだな」

「うん!あ、紹介するね!この子がリズ!
 リズ、この人が私の兄のグリード」

「初めまして、先日ミツキさんに助けて貰いまして…」

「あー、らしいな」

「それじゃあ、このへんで!また誘ってね!」

「うん!それじゃあ、おやすみなさい」


リズは、軽く会釈すると、車に戻った
それを見送り、車が見えなくなるのを確認すると、
グリードが、ミツキの頭をぽんぽんと撫でた


「何?」

「ん〜?いや、なんか雰囲気が似てる子だなって思ってよ」

「だと、思う」

「?」

「はい!お土産!本当にテイクアウトしてもらっちゃった☆」

「お!偉いぞミツキ!じゃあ、早速部屋戻って食わせて貰おうかな」

「はいはい!お酒もご用意させていただきますねぃ!」

「それと、明日ダブリスに戻るぞ」

「明日?明日の列車でってこと?」

「ああ、準備しておけよ」

「…はぁい」



(ヒューズさんの家に行けないなぁ…)



そう思いながらも、グリードの後に付き、部屋へと向かったのだった