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出逢いなんてのは唐突である





*--- Dea of fate ---*




「…わきゃぁぁぁああぁぁぁっ!!!」



町全体に響きかねないそれはそれは大きな叫び声
声を発したと思われる少女は


「待てこらー!!」


追われていた


「ごめんなさいすみません申し訳有りません!!
 悪気はこれっぽっちもなかったんですーッ!!」

「いきなり人様の上に落ちてきて、悪気がねぇだと!?」

「本人もどうして落っこちてきたのか知らんとですーッ!!!」


この国にはふさわしくない

グレーのセーターにミニスカート、紺のソックスにローファー
そして紺の鞄という出で立ちの少女は、
走りながら賢明に弁明する

叫びながら走っているせいか、元々の体力が少ないのか、
だんだんと彼女の走るスピードが落ちていく


「ひぃーっ!!死ぬ!!やばいよ!!勘弁だよ!!」


目をつぶりながら、必死で激走していると、


ドンッ!


「のわっ!」

「ってぇ!!」

「わぁぁ!!ごめんなさいぃぃ!!」


またも誰かにぶつかったらしい
少女は一足早く飛び起きると、叫びながら謝罪した

が、その人物を見て、少女は目を丸くした


「あなた…」

「おい、こっちだ!」

「うっわ、やべっ!」

「あ゙ーっ!!待って!!」


どうやら、この青年も追われているらしい
走り去ろうとした彼の服の裾を思わず掴んだ


「なッ!何すんだ!!」

「お願いです!同じ逃亡者のよしみで助けて下さい!!」

「ハァ?!」


青年が彼女の後方を見ると、
成る程、遠くに彼女を追ってるのだろう男が見える


「…離せって!!」

「助けてって!!」


振り返ると、自分の追っ手も近くまで来ている


「〜〜〜〜〜ッ!!あ゙ーもうっ!!しっかり捕まってろよ!!」

「はいさッ!!」


青年は仕方なく少女を抱き上げ、
彼女が自分の首に腕を回したのを確認すると、
横道を猛スピードで走りだした





*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*





しばらく走り続け、
青年は『DEVIL'S NEST』と書かれた看板の下の入り口に駆け込んだ



「ただいま戻りましたッ!!」

「あら、ドル……?」


テーブル席でチェスをしていた女性は、
こちらを向くと、眉間に皺を寄せた


「随分大きな土産だな…」


女性のチェスの相手であろう、向かい側の席の大男も、
青年の抱えている少女に目を向ける

ぜぇぜぇと肩で息をしていた青年は、
二人の様子に、抱えていた少女を見やる


「………あ゙…、持ってきちまった……」

「なぁに?鎧クン攫う前に女の子を誘拐?」

「違ッ!」

「ごめんなさい!!私が悪いんです!!
 私がこの人に無理矢理頼んで連れて貰ったんです!!
 誠に申し訳有りません!!いっそ罰してぇぇぇぇ!!」


謝罪しながら青年の腕の中でおいおいと泣く少女に、
女性はゆっくりと近づくと、優しく頭を撫でてくれた


「いいのよ、気にしないで
 どうせこいつもヘマして逃げてきたんだろうから」

「てっめ!!」

「何よ」

「…スンマセン」



「おぉい、やかましいなァ…」


このやりとりが相当煩かったのか、耳を押さえながら、
奥からのっそりと黒衣の男が入ってきた


「お?どーした、ソレ」


入ってくるなり少女を見ると、途端にしかめっ面が笑顔に変わった


「へぇ…やるなァ、オイ」

「ちょ、何考えてるんですか!」

「だってコレ、誘拐だろ?」

「違います!!」


どうやらこの青年、身内に遊ばれるタイプらしい

フと少女は一考すると、「あの…」と黒服の男の服を引っ張った


「お?なんだ?」

「あの、ここに置かせてください!!」

「はぁっ?!」


少女の突然の申し出に、抱えていた青年が声をあげた


「雑用でもなんでもします!!私…実は行くところがなくて…お願いします!!」

「おう、いいぞ」

「えぇっ?!グリードさん?!つか早っ!!」


あっさりとOKを出した男に、青年のツッコミが入る


「別に良いじゃネェか、女の一人や二人
 マーテル以外にも女は居た方がいいだろ?」

「私も別に良いと思うわよ
 ここには私以外には客くらいしか女は居ないし、女仲間が出来て嬉しいわ」


二人の言葉に、青年はうぐぐっと黙ってしまった
相当立場が弱いらしい


「そうと決まりゃ自己紹介だ
 おれはグリードってんだ、宜しくな」

「私はマーテルよ、宜しくね」

「ロアだ」

「で、そいつが犬」

「マーテルッ!!」

「そいつはドルチェットってんだ
 後で他の奴らも紹介するが…おめぇは?」



あぁ、やっぱり…


少女は溢れ出す嬉しさを抑えながら、笑顔で答えた


「ミツキです、こちらこそ宜しく」


列車事故の後に、最後に見えたあの"門"
ミツキの中で、一つの答えが出たのだった